デイヴィッド・ボウイを翻訳する(8):「ジギィはギタァをひきました」



これは 「ジギィはギタァをひきました」 という話

ジギィはギタァをひいたよ ウィアァドやギリィそして 俺達「火星から来た蜘蛛」と一緒にね ぐっとくるよなジャムを みんなの前で披露したのさ ジギィは左利きでね ギタァがそりゃもう最高にうまかったんで あっという間にスタァになったよ それで俺らは ジギィのバンドになったってワケ ジギィは本当に歌ったよ 口パクじゃなくってね 不機嫌そうに目を細め 髪振り乱して歌うさまは ありゃぁまるで

極東の島国からやって来た サカリのついた 1匹のキチガイ猫

だったね ジギィにとって 客を操ることなどお手のものさ ニッコリ笑って常識外れのフレージングを繰り出して 客の度肝を抜いたかと思えば いつまでたっても何にもひかずに 客を宙ぶらりんのまま放っておいたりもした もうステージでは思うがままにやりたい放題よ

そのうち実入りが良くなると

ジギィはなんと驚いたことに 整形手術を受けやがったのさ 手術の結果

ジギィのアソコは まるで馬みたいに! そして 黒かった肌の色は まるで白雪みたいになったのさ!

そのときが奴の人気もピークだったね 「ジギィは神だ!」とか言う奴らも現れたりしてな あぁ俺たちゃ不満たらたらだったよ 注目されるのがいつもジギィだけなんでさ

おいおい「火星から来た蜘蛛」さん達はどこにいっちゃったんだぁ? あのハエ男がお前らの金玉を握り潰そうとしてるってのによぉ?

かなんか仲間内からさんざん嫌味を言われちゃったりして 俺らはすっごく腹を立てていたね 馬鹿野郎! ジギィが「神」だって? 冗談だろ?

奴は我等を導きたまう 単なるビールのネオンライトさ

どいつもこいつも馬鹿ばっかじゃねーの? なんつって

俺らはジギィのファンをいつもこき下ろしてたけど いっそあの時点で ジギィの両手をぶっ潰したといた方が良かったのかもね

考えてみると ジギィがプレイしたのは ほんの短い間だったね だけど奴と一緒にステージに上がったときだけは 奴が俺らにブードゥーの呪いをかけたからなのか 俺達にはまるで

奴のファンの餓鬼どもが どうしようもなく粗野でお馬鹿なイナカモンに

そして ジギィが それらの衆愚を救うために 神によって遣わされた

生まれながらの 「いいケツ」をした ナザレ人(びと)に見えたもんさ

ジギィは誇大妄想狂気味で ものごとすべてを極端に解釈するのが常だった それでも奴がみんなから愛された理由はただひとつ

奴はギタァがひけたんだよ

ジギィは上りつめるのも早かったけど 落ちるのも早かったよ ジギィはもともと自己愛の塊だったけど

自分自身の自我(エゴ)との性交を 繰り返した挙げ句 ジギィは 自分のココロん中に吸い込まれて あっと言う間に 消えていったのさ

メディアに登場しなくなると 奴はすぐに忘れられた その時点でジギィはもう 自分がどこの誰かも分からなくなってて 家にも帰らず 風呂にも入らず 道ばたで寝っころがって ギタァをひいてたよ 誰も聴きゃしないのにね 心ない餓鬼どもから 石をぶつけられたりしても 奴は黙ってギタァを弾きながら 時折 自分の書いたワケわかんねぇ詩を えんえんと 唱え続けてたよ

ありゃあ見た目には まるでらい病に罹ったメシアだったね

ある時とうとう イカレた餓鬼どもが よってたかって ジギィを なぶり殺しにしちまった それで 俺らは 仕方なく バンドを解散した

これが 「ジギィはギタァをひきました」 という話

つまんなかったろ? Ziggy played guitar, jamming good with Weird and Gilly And the Spiders from Mars He played it left hand but made it too far Became the special man, then we were Ziggy's band Ziggy really sang, screwed up eyes and screw down hairdo Like some cat from Japan, he could lick 'em by smiling He could leave 'em to hang Became on so loaded man, well hung and snow white tan So where were the Spiders while the fly tried to break our balls? Just the beer light to guide us So we bitched about his fans and should we crush his sweet hands? Ziggy played for time, jiving us that we were voodoo The kids were just crass, he was the Nazz With God given ass He took it all too far but boy could he play guitar Making love with his ego, Ziggy sucked up into his mind Like a leper messiah When the kids had killed the man I had to break up the band

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