ハッカー氏はいかにしてミソジニスト(女性嫌悪者)となりしか?
How could Mr. Hacker be a misogynist?



コンピュータ・プロセスには性(sex ないし gender)がありません。したがって、複数のコンピュータ・プロセス間には性的差異("sexual difference" または "gender difference")が存在しません。しかし、現実に対処しなければならない個別存在者には多くの場合「性」があり,複数の存在者間においては性的差異が絶えず「生成」されています。そう,問題は「生成」という現象に対していかなる態度をとるかのなのです。コンピュータ・プログラマやシステム管理者を長く担当していると、自分が知らず知らず女性や子供に対する抑圧者として振る舞っている場合があることに気付きます。「いや,俺はそんなことない,俺はいつも女子供に優しく教えてやってる」と言うアナタ。この典型的な物言いの中にどれほど性的差異に対する鈍感さが含まれているかを,アナタは「フェミニスト」の人から指摘されるまで気付くことがない。そしてそのことを指摘されるとアナタは不快になる。それを指摘した「フェミ」の人に対してアナタは何か底意地の悪い「お返し」をしたくなる。そこで陰湿な嫌み(と言ってもせいぜい「なんでぇ,不細工なツラしやがってよぉ」とか)を言い返したところ,アナタは今度は別の「フェミ」からアナタの幼稚な無応答物嗜癖(希釈された necrophilia = 「アニメ好き」とか「フィギュア好き」のことだよ)に関して嫌みの「倍返し」をくらう...and so on。性的差異を巡る不毛な言説はこのようにして経済的に循環します。

事ほど左様に,現実生活はもちろん, 映画や小説などでもプログラマ(男性とは限らない)は女性嫌悪者として表象されることが多いのですが、なぜそうなってしまうのでしょうか?その根本的な理由は,結局、性的差異もその一つなのですが,「当の本人でさえコントロールが及ばないところで生成される」様々な事象(言い換えると「それを固定化・対象化するようなメタレベルが存在しない」事象) を目の当たりにすると,それがそもそも論理的にコントロール不可能であるという事実を認めたくない万能感の持ち主(男性とは限らない)は,そのような事象を「取るに足らぬもの」として貶めるか,または「不可知なもの」として敬遠する(はたまた「神聖なもの」として崇め奉る)傾向があるから,ではないでしょうか。要するにですね,制御不能なものを目の当たりにすると「フツーじゃなくなる」ようなのですね,万能感の持ち主(男性とは限らない)って奴は。これに対して,コンピュータ・プロセスは扱いやすくてとっても楽,というワケだ。
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